2011年7月23日土曜日

SSDがヤバい その2 フラッシュメモリベースSSD

前回に引き続き、今回はフラッシュメモリベースのSSDについて


■ SLCフラッシュメモリベース 企業向けSSD

NANDフラッシュメモリは DRAMと違い電源が供給されていなくてもデータを保持できる不揮発性メモリであるため、より通常のディスクドライブと同じように扱えるといえます。そのなかでも SLC(Single Level Cell)型は、後で説明する MLC(Multi Level Cell)型と比較して
  • 書込み速度が早い
  • 書き換え可能な上限回数が多い (MLCの10~20倍とか)
  • データ保持期間が長い (寿命が長い)
  • しかし容量が少なく、単位容量あたりの価格が高い
という特徴があります。ですので速度や寿命を重視し、値段は気にしない場合は MLCではなく SLCを選択します。
(現在では SSD内部のコントローラーも性能が良くなってきているので、SSDとしての速度差は昔ほどではありません。寿命が一番の差別化ポイントとなりつつあります)

2008年11月には、インテルから SLCを使った X25-Eシリーズ、MLCを使った X25-Mシリーズが、同じ時期に発売されていますので、それらを比較してみましょう。
尚、この製品は SATA2接続ですが 2011年の第一4半期まで売られていた、バリバリ現役です。



ReadWrite価格発売時期
X25-E(SLC) 32GB250MB/s170MB/s8.0万円2008.11 (2009.1には 4.3万円)
X25-E(SLC) 64GB250MB/s170MB/s8.0万円2009.2
X25-M(MLC) 80GB240MB/s 70MB/s8.0万円2008.9 (2009.1には 4.0万円)
X25-M(MLC) 160GB240MB/s 70MB/s8.0万円2009.1


同じ値段だと容量に2.5倍ほどの差があります。SLCは価格がどうしても高くなってしまうため、寿命を重視する企業向けとなります。

また、今年の第3四半期には容量 200/400GB、PCIe接続でなんと Read 2200MB/s Write 1800MB/sの SLC使用 Intel 720シリーズ(コードネーム Ramsdale)が発売される予定です。速度の秘密は 512MBの DRAMキャッシュ。すごく高そう。


■ MLCフラッシュメモリベース コンシューマー向け? SSD

SSDが現在のように一般化したのは MLCフラッシュメモリを使用した低価格の SSDが、コントローラーの向上により耐久性、パフォーマンス、容量共に進化したことが大きいといえます。
エポックメイキングな MLCベース SSD達を列挙すると、



ReadWrite価格発売時期
Intel X25-M(MLC)
80GB
240MB/s 70MB/s8.0万円2008.9 (2009.1には 4.0万円)
Intel X25-M(MLC)
160GB
240MB/s 70MB/s8.0万円2009.1
Crucial ReadSSD C300
120GB
355MB/s215MB/s4.0万円2010.3 (現在は 1.8万円) SATA3接続
Crucial ReadSSD C300
256GB
355MB/s215MB/s8.0万円2010.3 (現在は 3.7万円) SATA3接続
OCZ Vertex3
120GB
530MB/s450MB/s3.0万円2011.3 (現在は 2.4万円) SATA3接続



これら以外にも読み書き 500MB/sを越える SSDが続々発売されています。SATA3のバス幅は 600MB/sですので、既にバス幅の限界に近い性能が出ています。ベンチマークをするとほぼスペック通りの性能が出ています。

このSSDはコンシューマー向けと書きましたが、上記に触れたとおり MLCの弱点を補う機能を持つ SSDが増えており、使い方を間違えなければ、業務でも十分使用に耐える製品に変わりました。

実は今、これらの MLC SSDを業務あるいはエンタープライズ向けに使うためのリサーチをしています。近々成果は発表できると思いますので、お楽しみに。


次回は SSDの使い方に関する注意についてまとめてみます。

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